朝は雨が降って父が飛行機で飛び経つ2時間前に小雨になり、飛行許可が出た。飛行機に手を振る時、父が乗る飛行機の飛び立つ空と鬼岳の間に虹が見える。虹を見ながら、私はいつものように無事を祈った。
『ドライヴしませんか?』と、隣にいるヤマトが微笑みながら言うと、私は心が軽くなった。
何故か!無事を祈る時いつもそばに母がいて、初めて母がそばにいないので心細かった。虹が現れた時、自然の神様に見守られているような温かさを感じヤマトの声と重なり心が軽くなった。
心のスイッチが切り替えられて明るい笑顔でドライヴへ!
『五島の教会と灯台を見に行きましょう。その前に福江港を見に行きますね。今の時間だと長崎からのフェリーと博多港からの野母商船の太古丸が見れますよ!』
福江の港からスタートする五島一周ドライヴコースが私のお勧めで、道が舗装され一日で一周できる。今日は観光気分では無いのでポイントだけにした。
福江港にフェリーと太古丸が着いていた。私は簡単なガイド説明をして、船旅の楽しみ方を話した。不便で時間が勿体無い感覚を嫌っていたが、東京の取引先に贅沢な事だと教えて貰ってから変わって来たことを付け加え笑いを誘った。ヤマトは都会の人なので船旅は贅沢と考える。船酔いさえ無ければのんびり出来、水平線を見ながらキラキラひかる波間を見る時は笑顔になれる。
私の大好きな教会へと向かった。教会につき、私は側のカフェで休みヤマトは一人で教会へ。
仏教の私は教会を見ても正直懺悔する過ちは無く、毎日の反省は日記に書いている。改まってマリア様の前で報告する事もない。毎回教会に来るたび教会の美しさと周りの借景は堂崎天主堂が一番と話す。
出会う人にキリスト教迫害の説明を聞いてストーリーを想像した。そして、教会に来て歴史のストーリーを想像する。歴史の本を探して勉強してストーリーを想像する。いくつものストーリーを想像してみた。
私はドライヴ中に、この私の心中を話して一人でヤマトを教会へ行かせた。
映画を観た後の感想会のようなもので、興味を持つ人はイメージを持って教会を訪れるので、見る前と見た後はイメージの感想が変化する。
『落ち着くところだね。時間を忘れるよ。また来たい。』
『良かった。美観も良く、ここからの眺めは水辺も静かで大好きな場所なの。お昼はここで食べる?灯台は歩くから軽く食べとこ!』
『仕事をしていると、利益が出ますよう!神様に祈り次に、みんなの無事を祈るの。安否を祈り、感謝を伝える。私の家には仏様と天照神様と水の神様を祀っている。それぞれに決まった方角の場所に祀ってあり、そこに正座をして手をあわせるの。私の祖母は毎日お祈りをして、その時の表情がイキイキして綺麗なの。』と、私は我が家の仏教の姿を話しだした。田舎だと一般的な姿。
だけど、この風習もなくなろうとしているだろうから、いつかは祖母から受け継ぎたいと話をする。
『まおちゃんはおばあちゃんの事大好きなんだね。』
『大好き。質問しても大丈夫?貴方のおばあちゃんは今どこにいるの?』
『大丈夫だよ。両親は日本、父の祖母はイギリス、祖父はフランス。母の祖父は亡くなって、祖母はイギリス。』
『我が家の上をいくのね。ゆっくり聞かせてね!私は弟と二人兄弟で、弟は福岡に結婚して子供もいて、唯一平凡な人生で両親は喜んでいる。日本で幸せに暮らしている。我が家のことはそのうちにわかるわ!』
ヤマトの外見だけで無い魅力にますます惹かれ、灯台までのドライブが楽しい時間になった。
『映画になったんだろ。映画は見てないけど、灯台と沈む夕陽が美しいらしいね。』
『私は小さな頃ピクニックのように灯台に着いたらおにぎり食べたから、やたら歩いた思い出しかないの。その後友達と来ても、歩いた思い出かな。ヤマトは山登りできる?』
『ヒマラヤは登ったことないけど、ハイキングくらいは!』
『スポーツは?』
『僕はインドア派かな。』
『私はテニス。でも運動神経はないかな。短距離より長距離が好き!』
サッカーと言ってくると期待していたので、期待を裏切られた!と、悟られないように狼狽えた。いつもは素直に言ってしまう私だけど、好きになると状況によっては言えないのだ。恋愛が苦手で自分から好意を持つことを怖がってしまう。克服するために恋愛小説をたくさん読んでも上手くならない。恋愛上手な親友に頼るのが一番。
『ここから見る灯台も素敵なんだよ。』
『お!本当だ、雄大だなパロナマだね。』
『でしょ!灯台の下の断崖を見るのも圧巻だけど、ここから灯台見るのも充分な美しさなの。いろんな見方と感想が生まれるから、教会の後は離れて見る灯台で今日は終わりにしましょ!まだ数日は滞在するでしょ。』
『了解!』
庭で焼き魚を焼いて、星を見ながらビールを飲んでイタリアからの連絡を待った。祖父母も遊びに来て賑やかな夜になって、遅くなった祖父母は泊まることに!
『今日は楽しまれましたか?』と、祖母がヤマトに言って休むために部屋に向かう。
『年寄りは眠るね。朝が早いから!真央、畑の手入れをしとくからね。今年は草取りをサボってないから、楽そう。』と、祖父は上機嫌で祖母の後を追う。
『おやすみなさい!おじいちゃん、おばあちゃん。朝はゆっくり寝とくからおこさないでね!』
『おやすみなさい!』と、ヤマトも上機嫌で返事をした。
『我が家は朝寝坊派なの。父は早起きで、母は低血圧で朝が弱く、娘も便乗して寝てます。夜遅くに海外からの連絡待ちながら音楽聴いていることが習慣化してて。嫁に行けない条件ばかりで両親は嘆いてるの。』
『恋人は大変だね!』
『恋人は仕事!別れたばかりで、立ち直ってなくて。』
『僕と同じだね!』
『あ!そうでしたね。時々、記憶が戻る時があるの。それがなんなのか?パズルみたいで、頭痛が起きて。それを口実に寝坊しているの。』と、言って笑った。
私は何故この事を話しているか?普段話さない話題と、気になった。
ヤマトはあまり関心が無い素振りのようで安心した。この素敵な男性は何者なのか?と、初めて危機感を持って見つめた。心の中で、悟られないようにしなきゃ!と、唱えた。そして、好意も悟られないように!と、唱えた。
田舎の夜の9時は深夜のようになる。車の音もなく、川から聞こえる水の音が大きく聞こえる。
『真央!差し入れ持ってきたよ。』と、恋愛の先生の早苗ちゃんがやってきた。
『ありがとう!紹介するね、こちらは旅人のヤマトくん。こちらは恋愛の先生早苗ちゃん。占いのアドバイスも時々もらってる、私の尊敬する同級生。』
『初めまして、ヤマトです。職業は大学で研究をしている旅人です。五島は良いところですね。宿屋はハラハラドキドキして退屈しません。』
ヤマトの紳士的な紹介に早苗ちゃんは真っ赤になっている。
『早苗ちゃんはビールで良い?今夜は飲むよ!音楽かけるね。』
『今日は灯台に行ったんでょ!遠くから見る灯台の方が地元の人は好きよね。歩くのがきついのもあるけど、あそこの深い海の色は綺麗だもんね。』
『私たちは美しい海の色には慣れているけど、深い海の色の魅力は高い所から見る時だもんね。』
『ところでイタリアのおじさん達は問題解決したの?』
『まだ連絡は来てないの!』と、話題をぱっと変えた。早苗ちゃんは明るい雰囲気に変えてしまう能力の持ち主。
そのあと三人は深夜まで飲んで、私のベッドで早苗ちゃんは眠った。
『真央!おきらんか!』祖母の声で起きた。
続きを読む: 第2章 五島観光
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