Words Don’t Come Easy to me.
How can I find away to make you see.
I
私には言葉がうまく出てこない
懐かしい音楽が聴こえる。どうしても思い出せない。初めてこの音楽を聴いた記憶が思い出せない。
インスタを始めてからこの音楽が何度も流れる。
ここ最近急に寒くなり慌ててフランネルのパジャマを探した時、遠い昔フランネルのパジャマの肌触りの虜になった記憶が蘇った。チェックの柄を探した事や、あの頃の街の風景。そして、優しいネルの肌触りは着るほど馴染んでくる生地の心地良さがある。
『澤田さんチェックのフランネルシャツは売れませんか?』
『売れるね!俺は売れると言ったけど、デザイナーが企画しなかったんだよな。バーバラさんが別注するなら作るよ!』
『じゃあ別注するから、生地サンプルを集めて。』ちょっと微笑む澤田さんの顔を見て、
『夏の売れ筋のデザインに秋冬の素材切り替えでお願いするね。』と、私が言うと、売れる数字を予想してさらに澤田さんは微笑んだ。
『色のバランスはどうする?』
『今年は赤が売れるから基本のタータンと白黒のギンガムとグレンチェックを揃えて』
『ギンガムで色があれば揃えようか?』
『澤田さんはデザインはセンスないけど生地になるとセンスあるよね。』
『どういう意味なんだよ!いつもバカにすんだよね。』
私は律儀なメーカー澤田さんとの企画会議を簡単に済ませるのが気に入っていた。他のメーカーだと、デザイナーが出てくる会議となり疲労が溜まる。澤田さんはオシャレでは無いが生地集めのセンス良くとにかく仕事が早い。
生地の原価、上代設定は勿論で納期も正確で裏表が無い営業部長の澤田さん。特に納期にはうるさく、工場に厳しい事を頼める澤田さん。生地問屋には利益を取るために叩いて、納期を守り市場に売り逃しが無いように提供する。そこで私は予算を達成する醍醐味を経験できた。自然なスタイルの中で澤田さんは、無言で私を育ててくれた一人。
『コーヒーとお茶、どっち飲む?』
『澤田さん、甘いものがあればコーヒーを!』
『得意先にもらった美味しい甘いものがある!』と、にっこり笑う。
澤田さんは一見強面のためファッション業界に見えない。またそこがよく、集金の時に役立つようです。この強面と東北訛りが私の心を安らぎを与え商談が楽しい。
『澤田さん、生地サンプルを見て、数字は入れるね。』
『せっかく展示会に来たんだから、つけてよ!』
『もう見た。』
『何?つけないの?』
『つけないとダメ?。さっきの別注で予算使うからね』
『じゃ、1型だけでも』と、珍しくお願いモードで澤田が言う。
『即切れる素材である?納期は?』
『厳しい事を言うね』と、珍しくため息をする。
『先ずは甘いものを食べて考えるね。即着れる素材を展開して残ったら返品するかも』
『あー。いいよ。』
『じゃ、コットンのスカートの展開を沢山つけるね!』
『投入は任せてくれる。』
コーヒーと甘いケーキをスタッフの方がテーブルに待ってきた。
『澤田さん、さすが東京だね!オシャレなケーキね』
『目黒にある有名なケーキ屋さんなんですよ!』と、側にいたスタッフの方が説明する。
『吉永さんは昼抜きだろ!腹減るだろ、食べときな。』と、澤田さんは発注書に数字を入れる。展示会のデザイン画見せながら、現物を持ってきて確認をして数字を入れた。
『サンプルは明日の夜までに集まる?』と、尋ねると澤田は数字を入れる手を止めて、
『いつまで東京にいるの?』
『来たばかりだから木曜日までいるよ』と、私は笑いながら『澤田さんとこに一番に来たんだよ!』
『嬉しいね。ケーキをいつも用意しとくよ。』
『オシャレなデザインがもっとあればつけるんだけど!』と、申し訳ない心境を現した。
『俺にデザインを要求したらダメ!他所に求めて、ここは定番のデザインが得意なメーカーなんだから。』と、『すぐ俺をバカにする!』と、付け加える澤田さんです。
『こんなもんで良いか?』、私は渡された伝票をチェックした。
『次どこ行く?ウィングスか?ウイングスは売れてるか?今担当は今井か!うまく行ってんのか?問題は解決したか?』
『うまく行ってない。こんな明るい商談じゃないよ。暗い!』
大声出して笑い出す澤田さんは、コーヒカップを見つめながら強面の顔が紳士の顔になって、
『真央ちゃん、人が一番難しいんだよな!担当を変えるのが一番難しいよ。どうする!決めたか?俺んとこの倍の取引だろ。もっとか?』
『もっと!返品交渉は時間かかるし、納期は遅れるし、何度話しても変わらないよ』と、膨れっ面で話していると、スタッフの方がケーキを持ってきた。
『これでも食べて、元気を出して首切ってこい!』
『この話になると、澤田さんが素敵な紳士に見えるよ』
私はケーキを食べた後、澤田さんの会社神宮前から表参道へ向かった。
『毎度!今井さんはいますか?バーバラの吉永です。』
私はこの『毎度』が気に入ってて、その日の気分でおっきな声で言って気合いを入れる。
『真央ちゃん!こんにちは。いつ来たの東京?』
この今井という担当は大学の時にラグビーをしていて自分に自信があり、モテることを自覚している。だから私の苦手なタイプである。その理由は私のペースにしてくれないから。いつも彼のペースで進むので毎回私のペースになるように挑んでいる。
『今日の一便で!サンプル見たくて!見れる?』
『何時に渋谷ついたの?ホテルはどこ取ったの?』
『10時にはついて、いつもの原宿のホテル。軽く朝食をとって予算を見ながら部長と打ち合わせしてきた。』と、機嫌が悪そうに私がいうと、
『真央ちゃんて朝弱かったんだよね!大丈夫?』
さっきは演技をしたが今の一言で本当に機嫌が悪くなった。
『まさかサンプルがまだ出来上がってないとか?』
『真央ちゃん!鋭い!』
『サンプルの仕上がりに合わせて出張を組んだんだよ!』
『ごめん!ごめん!本当にごめん。』
『今井さんのごめんは聞き飽きた!別注は取りやめようか?』
今井の表情は暗くもならず、椅子に座っていても肩幅が広いためか陽気にさえ映る。そこが彼の最大の魅力です。
『真央ちゃん、生地を厚手にして販売期間を長くしてバーゲンかけずにプロパーで売っちゃいなよ!』
確かに一番良い販売戦略で理想である。
『そうきたか!頭に来てるのわかんない。』
『真央ちゃん、冷静に考えてごらん、あのデザインは必ず売れるからバーゲンにかけない展開を考えようよ!』
『これって後手の作戦でしょ。ものは考えようっていう内容で角度を変えていっている。根拠はあるけど、前回の商談で話し合いをした時にいって欲しかった。』
でた!今井の得意な顔。太々しいけど顔が良いから似合う。
『今売り場がどんな状態か電話で伝えたでしょ。早く教えてくれたら他のメーカーに頼むのに!』
頭に血が上り、このセリフしか浮かばなかったが、頭の中では次の手を考えた。すると自信満々の今井が、
『委託で何パターンか見計らいで送っとこうか?』と、さらに太々しく見える表情で『真央ちゃんのためだもん。どうにかするよ!』と、続けて言う。
私はバックを手に取り、周りにいるスタッフに『お疲れ様でした!』と、大きな声で挨拶をした。
さすがに今井は驚いて、『え!もう帰るの!』
心の中で、やった、勝った!と叫び、
『じゃ!送っといてね!伝票に見計らい商品と書くのを忘れないでね。コンピューターに打ち込むので。』と、
私は振り返りながら『サンプル持って福岡に来て!話し合いましょ!』と、言ってやった。
今井の驚いた顔を見ると私は一番の笑顔を作り、『お疲れ様でした。』と、周りのスタッフに告げた。
その後、私はお昼抜きで3社メーカー周り夕方となった。
ホテルに戻ると伝言が2件。伝言を受け取りながらフロント係の青田さんが『吉永さん、林さんは東京みたいですよ。』
『えっ!なんか言ってた?』
『林さんがホテルの近くで美味しいとこありますか?っておっしゃってました。』
『ほんと?何処か教えたの?』
『吉永さんがいつも行くホテルの前のカウンターだけの店を教えました。』
『ありがとう!彼お金ないから安いとこが喜ぶ。』
原宿のホテルトリムは小さなホテルで古いが利便性が良い。フアッションのメーカーは渋谷が多く、原宿、青山、神宮前に集まり歩いて行動する。
『真央ちゃん、男心プライドわかった?』
『難しいよ、全然わからない。1億の予算考える方が簡単!ファッションだと2年先まで予測できるけど、恋は予測つかない!』
『どっちに決めたの?もう決めてる?まだ迷ってる?メーカーの彼とは会って何か感じた?』
『迷ってる。さっき会ってきたけど、惹かれているのはわかる。悟られないように急いで出てきた。』
『早く電話しなよ!待っているよ!迷っているなら彼と話な。』
私は心を乱され惹かれている。ウイングスの今井さんには告白もされた。かなりの演出付きの告白はプロポーズだった。
付き合って欲しいと言われてもイエスとは言わないけど、結婚してほしい!と言ったら考えると、言ったら即答で『真央ちゃん結婚して欲しい。』と、今井は真面目な顔で『今誰とも付き合っていないよ。結婚したら遊びも控えるよ』と、初めて見る真面目な顔で言った。
私の短所!優柔不断で悩む。そして、恋が苦手である。
部屋に入り、まずはシャワー浴びる。旅行カバンからネルのブラックウォッチのチェックのパジャマを出して、上着を着てジャケットを羽織った。
FMをつけると『 Words Don’t come easy . 』が流れてきた。
ネルの肌触りが心地良く、フランスのF.R.デビットさんが歌った『言葉が思い浮かばないんだよ!』という内容の歌だ。
電話の受話器を取り彼の会社にかける、『林さんに伝言をお願いします!ワーズ トリムの前で!と、お伝えください。』
伝言を頼み部屋を出た!
フロントのソファーに腰掛ける見慣れた笑顔。林と目が合い手をふる。
『伝言聞いたよ。ご飯食べに行こう!お!僕があげたチェックきてるね。』
二人でホテル前のカウンターだけのビストロへ行く。
『真央ちゃんいらっしゃい!ここ空いてるから』と、いつもの無器用面から言われて店長の前に座った。
また有線からあの曲が流れてくる。きっと、無器用面の二人の男の耳にも聞こえてるだろう。
注文を聞かない店長が『今日はこれが美味しいよ!二人で食べて。』と、おまかせが出てきた。
彼は何も言わず一口食べて『美味しい。真央ちゃんへの店長の愛が感じるよ。』と、二人の男が無器用面から笑顔になる。
言葉がすぐに出てこないのさ、愛してるって伝えたいのに、僕はどうすればいいだろ。簡単じゃない、言葉で伝えるのは。
Words Don’ t come easy to me.
How can I find a way to make you see I love you .
This is the only way for me to say
I love You.
コメントを残す