虹を掴もう!/第6章海外からの訪問者

第6章 海外からの訪問者

玄関に訪問者が来て祖母が相手をしていた。近所の空き家の管理を引き受けている祖母は、訪問者と一緒に出掛けるようだ。

『真央、お父さんの知り合いで今日からしばらく家を借りるってよ。挨拶して!』

玄関に行くと英国人らしい三人がいた。そして、日本人が一人、30代から50代で私より年上の訪問者。海外からの訪問者に慣れている祖母は嬉しそうに準備をしている。女だな!と、祖母の輝く笑顔に感心した。

『娘の真央です。初めまして、ようこそ日本へ!五島の我が家へ!』

『初めまして、後からゆっくり挨拶します。説明も必要なので。』

名簿に記入している日本人の訪問者が話すと、後ろで三人の紳士はうなづく。日本語がわかるようだ。何とお洒落な訪問者。ロイヤルのようなファッションで、足元の靴が皆さん素敵すぎる。吐き込まれたデザートブーツやローファーが見事!上から下までチェックする私の目の動きに訪問者の皆さんは笑顔で答えてくれた。

『どちらからお越しですか?』と、祖母が尋ねた。

『私たち三人はイギリスのロンドンから来ました。』

『イギリスから!私はテレビでしか見たことありませんが、お城が綺麗ですね。エリザベス女王さんが亡くなれた時は涙が出ました。女王様のファンでした。』

2件の空き家を契約して、朝食だけは祖母が提供して後は頼まれたら用意する。ショップはカフェも兼ねているので、季節に合わせて寒い時は暖炉の部屋、祖父の囲炉裏を囲んだり、あまり泊客は多くはない為祖母が気ままに営んでいる。

ヤマトは自分の部屋に戻り、パソコンに向かった。

話すべきか?まだ早いか?と、悩み電話をする。

『今イギリスから三人五島に着いた。彼女のお父さんの知り合いと話していたが、何者かまだ話していないからわからない。』

『彼女には話したのか?何か思い出している情報が入っているが、様子はどうだ。』

『僕のことに何か気付いている。何としても守るよ。三人は傭兵か軍隊経験者の間違いない。一人はアメリカ人で一人は日本人。日本人もあの身のこなしはただものでは無い。真央を守りに来ているという事はいよいよ始まったのかもしれない。』

『どんな奴等がどんな手を使うか分からないから気をつけろ!そこは日本だから大丈夫だとは思うけど、北朝鮮からの脱北した傭兵を雇っているかもしれない。』

『そうだな。』

『あいつらはどんな手でくるか分からない。そこが問題なんだよ。』

真央はその頃ネットショップの仕事をして、インドの工場とのやりとりに悪戦苦闘して不機嫌になっていた。

『パパ!インドの工場の納期問題を解決して。』

『そのことか、わかった!インドに電話しとくよ。真央大丈夫か?ボディーガードが来ているだろう。パパは何年か前に仕事をしたことがあって腕が良いプロだよ。彼らはプロで信用して良いよ。』

『ばあちゃんが相手をしてくれたから、あまり話してないの。パパ!今はこの納期問題を解決してね。ショップからも問い合わせのメールが来てるから対応で大変よ。』

『可愛い娘の頼みだから電話しとく。』と、笑い出す父だった。

『パパ!笑ってる?売り上げがかかってる大事件よ。サンプルでゴーサインしてるんだから。それに追加発注の商品も納期が遅れてるの。大事件よ!』

『お願いだから、彼らプロに協力するんだよ。プロだから安心していい。』

『わかった。三人も帰ってくるし、こっちは大丈夫だよ。』

私は父に一大事を解決してもらう事で、明るくなってきた。海外から来たボディーガードのことは後回しにしたい。父は娘の気持ちを察して、安心するようにプロと何度も言ってくれた。

『真央!お客さんにお茶菓子持って行って。』と、祖母からお使いを頼まれた。

海外から来たお客様は私のボディーガード。と聞いても素直によろしくお願いしますとは言えない。何故危険な目に遭うのか?父からは理由を聞いて無い。そこで私はこのプロの方に聞いてみようと考えた。

『失礼します!祖母が甘い物を用意しました。長崎カステラとりんごジャム、紅茶に入れると美味しいですよ。おばあちゃんの手作りです。』

『真央さん!後から頂きます、ありがとう。私達が来て緊張したでしょ。お父様から私達のことはお聞きしたと思います、用心に越したことはないので安心してくださいね。』と、日本人の訪問者は言った。

『私は渡辺と言います。いつもは弁護士をしています。国際の司法を担当しています。』

『サム・クルーズ!オックスホードで日本語の研究をしています。』

『え!サム・クルーズ!一文字違い。覚えやすいし、ちょっと似てますね。身長は貴方が高い!』と、私はいつもの調子で話し出した。

『私はイシャー・カッター、インド人。父の貿易の仕事をロンドン支社で手伝いをしています。』

『私はネットショップをしていて、インド綿の商品企画をして展開しています。スタッフが明日帰国するので、インドを開拓したいから教えてくださいね。』

『リーグ・シュレイバーです。アメリカのニューヨーク生まれで、ロンドンで探偵をしています。ゴシップ情報聞きたいなら、お酒飲みながら!』

『わ!興味ある。友達呼んで良いですか?』と、この訪問者が気に入ってしまった。

渡辺さんは真面目そうな堅物タイプ。弁護士さんによくある雰囲気で頭良さそうな人。冗談が通じ無さそう!

サムさんは笑顔がトム・クルーズによく似ているので二人っきりになるとまずい!目がハートになる。

イーシャさんは幼馴染のような雰囲気を持っている。笑顔が優しく安心を与える。

リーグさんは頼り甲斐がある印象。この四人の中で一番腕っぷしがありそう。

まだゆっくり話していないけど、彼らへの自己紹介での印象です。この、のんびりした田舎には似合わない四人の目的はプライベートで旅している事にして周りには知らせようと誓った。目立つだろうな!ヤマトに続いてイケメンが集合です。

道路を歩いている人はいない田舎でも、噂は早い。

またまたトラブル発生。商品の納期が遅れていると、東京のメーカーよりメールが届いた。日本製のワンピースを毎年作っている。お家で着るワンピースとお出かけ用と値段設定もお手頃にしてせいか完売する。リピーターのファンが付いていて年齢も幅広い。

仕事に集中していると、パソコンに強い月ちゃんが遊びに来た。

『真央!何か手伝おうか。』

『メールチェックしてくれる!助かる。バイトして!』

『いつものようにすれば良いね。ところでイケメンさん達のことを教えてよ。』

『とにかく優しいよ。マッチョでイケメン。歳は?30代後半?落ち着いているから結婚しているだろうな。軽さが全くない!真面目なマッチョで紳士!』

『紹介してよ!メールチェックバイト代いらないから。』

『月ちゃんは苦手な食べ物が多いからばあちゃんに頼んどくね。そっちの方が高くつく!』と言って、ウキウキしている彼女を見た。田舎では、知っている顔見知りがほとんどで、おまけに海外から来てる訪問者で日本語が話せるとなるとウキウキにもなる。

私に何かが起きていることなど気にも留めない。そのことに触れてくれない優しさは同級生だからだろう。

そこにイタリアから三人が帰国した。

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