第4章 友達
主要メンバーに時間が合えば中学校からの友達が参加する。
この主要メンバーは、初めて倒れたとき一緒にいたメンバー。幼い子供でも面倒見がよく、ハンカチを水で濡らして顔を拭いたりしてくれた。一人一人が突然倒れた友達を解放していたらしい。親が駆けつけた時の様子を後から聞いて、私は子供ながらに感謝したのを覚えている。
『真央が倒れた時、何語かわからない言葉で話し出したときは怖かった。何が起きたんだろうって!よっちゃんがおじちゃんを呼び行く!って、叫んで走ったね。リエはハンカチを濡らしに行って、大人の人みたいに動いてたね。私は泣いていたような気がする。』
『早苗ちゃんは側で泣いていた。』と、よっちゃんはいつも言って笑う。よっちゃんは兄弟が多く、大人びた子供であった。面倒見が良くヤンチャなおてんばさん。
田舎の子供は大人を頼り、見守られている環境の中で子供時代を過ごす。5分も走れば誰か大人が仕事している。そして、どこに走れば大人がいることを分かっている。よっちゃんはかけっこが早いから走って大人を呼びに行ったのだろう。
『あの時は、工事のおじさんを呼びに行ったけど、おじさんが救急車とおじさんに電話してくれて、あっという間に沢山人が集まって驚いたね。早苗ちゃんは泣くし、何が起きたか?あまり覚えてない。』
『真央がわからん言葉で話して頭がおかしくなってる。って、私が繰り返し言って救急車の人がびっくりさせたね。今なら分かるけど、あの時は何かが乗り移ったかと思って怖くて泣いたんだからね。もー!いじめんで!』
早苗ちゃんは毎回この話題が出るたびにこのセリフを言って笑う。
学校帰りに私達は遊んでいたら、近くで大きな音がして鳥が一斉に飛び立った。スズメの大群が飛び立つ空を見て私はある記憶が蘇り倒れたらしい。
あれは小学校4年生の頃、私は田舎の生活に慣れて楽しく過ごしていた。スズメは窓からいつも見ていたが、あの大群で何かを思い出して私はどこの国の言葉を思い出して話したのか覚えていない。
大人たちはこの件にはあまり触れない。両親は私に何か思い出したかとも問わず、専門家の心療内科やセラピストに相談する事もしなかった。大人たちの配慮で私は倒れたことを忘れ、何も疑問も持たず成長できた。
時々みんなで集まった時の笑い話となるが、誰も何があった?と、質問もせず噂すらなっていない。大人になり、時々思い出しこのメンバーに感謝を感じている。私を守ってる友達に感謝をしている。
今日みんなの笑顔を見て、感謝を込めて美味しい食事を出す。
『沢山食べてね。新しいレシピでエスニック風。ワインんにもビールにも合うから食べてね。あとはばあちゃんが、浅漬けの漬物の盛り合わせ。デザートはシャーベットとケーキがあるよ。』
『真央、イケメンの旅人は参加しないの?』
『じいちゃんと一緒かな、声かけるね。顔もスタイルも良いけどファッションが素敵よ。ここら辺では見かけない!さりげなくカジュアルなブランド物着てて、色合わせがとにかくおしゃれ。それにジャケットの着こなしが板についている。まとめると掴みどころが無い、お坊ちゃんかな!』
『おしゃれな真央が言うなら間違いないね!都会から来たお坊ちゃんね。』と、あまりファッションに興味がないよっちゃんが嬉しそうに言う。
ファッションが好きな四人は、私のネットショップを応援してくれている。始まりは小学生の頃からあれこれとファッション談義で熱くなり、この時だけは私がアドバイスをして頼りになるお姉さん。
ウィンドーショッピングする店が無い五島では、雑誌とテレビを見て情報を得てオンラインショップで商品を検索する。見つけるとアドバイスを聞きたくなり、
女性の洋服選びに付き合うことが好きな人はいない。本音で意見を言ってくれているか?を問い、迷う事にうまく付き合う事が大事で、三人の友達は迷う事が好き。
ファッションには個性があり、小さい頃から友人達の個性を解っている私は友達がお目当ての商品を探し出す。そこで似合っているか?どうかを正直に伝える。
社会人になって、同級生は本音が話せて信頼できる重要さに気付き、同級生を大事な存在と皆感じてる。あまり話して無かった同級生も顔を見ただけで親しみを感じる。男性にも女性にも何処かでバッタリ会う時は笑顔になり挨拶をする。
そして、翌日にはニュースになる。昨日同級生に会ったよ、元気そうだった。こんな会話をしたよ!と、誰かに話すと隣町の富江に行くとあっという間にニュースは広まっている。ゴシップが少ない田舎だと、些細な事もニュースになる。
その時だった、急に停電になった。窓を開けると街灯が消え周りがいっせいに真っ暗になり、ここでは夜空の星灯で遠くが見えた。
『ブレイカーかな?他所のうちも停電?台風でもないのに?』と、早苗ちゃんが言うと、
『真央?大丈夫!気分悪いことない?』と、リエが心配して言った。
『私何か思い出したかも。秘密にしてくれる。』と、私が小声で言った。
その時電気がついた。
『良かった。ついたね。』と、よっちゃんが明るく安心するようにみんなの顔を確認した。ホッとしながら四人は顔を見合わせてうなづく動作をしてると、
『大丈夫ですか?』と、ヤマトがやって来た。
ヤマトの心配してる表情を見て、遠い昔この不安げな顔を見た気がした。ほんの数秒幼い時の記憶が通り過ぎた時、又記憶が蘇った。この状況は前にもあった。
『ヤマト、あの時一緒にいたね。』と、心の中でヤマトに問いかけ、ヤマトに伝わったのか頷いてるように見える。私は疑問が一気にうまれて想像した。だから五島に来たんだ。でも、味方?敵?と疑問が生まれ初めてあの時の感情が蘇った。悟られないようにスマイル!
『こちらがヤマトさん。お仕事は大学である研究してるようです。私もまだ詳しく聞いてないの。そして、二人はよっちゃんとマリ。』
『初めまして、よろしくお願いします。』と、軽く挨拶をするヤマトに三人の友達は求愛の笑顔を見せる。それも彼女らの持つとびっきりの笑顔で旅人を迎えた。私は予想通りの反応に満足!
『いつまでも五島に滞在してください。』と、まりが言うと、『何にも無い田舎ですが、静けさだけが自慢です。』と、よっちゃんも続ける。
『皆さん仲が良いですね。それに皆さん可愛い!』
『ヤマト君は海外生活が長いので素直な気持ちを込めて褒める習慣が日中なの。日本じゃ気持ち悪いけどね!』と、私はヤマトをフォローした。
三人は頬を赤くして恥ずかしそうに喜び笑顔で答えた。
『言い方もお洒落でさりげない。』と、小声で早苗ちゃんは二人に言う。
『何飲む?』と、よっちゃんはヤマトに飲み物を勧める。
ヤマトの登場で空気が一変して和み、突然の停電で記憶が蘇る出来事は笑い声の力で気にする事なく一夜を過ごした。
本当によく笑う早苗ちゃんの明るい声でスタートを切り次に冷静なリエも一緒に笑い、ボス役のよっちゃんは最後にまとめる。チームワークが良い!
食事が美味しいので太りそうですよ。』と、ヤマトが言うと、
『真央『は料理出来た?』と、リエが言う。
『真央はエスニック料理が定番ね。』と、代わりに早苗ちゃんが答える。
『ばあちゃんが作ってるの?』と、再度リエが質問して、私はうなづいて答えた。
『いつもおじさんが作ってるから、いない時は自分で作ってるの?』
次々に質問が友達の口から出る。
『朝はばあちゃんが作りに来てくれて、昼と夜は一緒に作ってる。ばあちゃんの釜戸で炊くご飯が美味しいって言ってくれる。あと、味噌汁も!』
『真央のうちの釜戸のご飯は美味しいもんね。』
我が家は釜戸でご飯を炊く。他人がなんと言おうと面倒な事でも母と祖母は続けている。田舎で釜戸でご飯を炊く人は少ない。薪でかまどに火をつけ屋根から煙が出る風景を父は好んでいる。
田舎では変わっていると思われる光景でも、我が家の煙の匂いが大好きな私です。
『都会だとこだわりを商品にして客を呼ぶ時代です。ここにいると日本の近代化とこだわりを感じて居心地が良いですね。』と、ヤマトが言う。
『わ!大学の先生のみたい!』と早苗ちゃんがキラキラした目で言うとみんなで笑った。
ヤマトの落ち着いた雰囲気に惹かれる私達四人。この人の前だと突っかかりたくならないだろうと想像した。口論を望んでも相手にしてくれない空気を感じる。そして、父に感じるような優しさがある。それが?なんなのか?まだわからなかった!
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