盈進に死す!第16章Smoke On The Water

16章 Smoke On The  Water

一夜が明けて!

田んぼから煙が上がっている。

草を燃やしているのか、同級生の原君がトラクターで田んぼに来ているのが見える。原君が野焼きしてるのだろう。

ここから手を振ってみたが、見えないのか諦めた。

私は窓から見える眺めが大好きで、山に雲がどれだけかかっているか?天気を予想する。幸せな時間に、部屋からはロックが流れている。目覚めが良いように『Smoke on The Water』!

水面に立ち込める煙

天まで燃える炎う

水面に立ち込める煙

煙のような見えない恐怖が!と、私は替え歌を考えていた。

嘘であってほしい!何時も、いつかはこんな事が起きると予想していた。

時々襲う見えない人影や誰かが私を助けてくれた。私と何人か同じくらいの女の子や男の子がいた記憶が鮮明に思い出す。

映画のワンシーンのようでなんだったのか、本当に起きたことか考えていると頭が痛くなる。

替え歌を考えているとまりあが部屋にやってきた。

『真央!気分が悪いんじゃない?顔色悪いよ。』と、心配そうな表情でそばにきた。

『まりあ!巻き込んじゃってごめんね。よしき達と神戸に避難してたら。』

『何言ってるの!そんなこと心配してたの?だから顔色悪いんだよ。』と、まりあはすっかりお姉さん言葉で肩をポンポンとヨシヨシをする。これはまりあの癖で時々急に行うリーダーの威厳。

『ありがとう。』と言って私はまりあの肩の寄りかかった。

二人は川眺めながら部屋に流れる名曲を聴いた。

『ロックは元気が出るね!』

『でしょ!』

『おじさん達も良い曲作るじゃんね。』

『おじさんて聞いたらパパが怒るよ。あ!おじいちゃんの時代だよ。』

二人に笑顔が戻った。

『おいおい。姫二人で何話してるの?』と、ぐんさんが部屋に入ってきた。

『姫の部屋にノックしないで入ってくる!』と、私は久しぶりのチームの会話に弾んだ。

『またまた、俺を除け者かよ。』と、よしきが私の肩を抱いた。

『お前の部屋はいつもオープンだよ。たまには鍵かけとかないと。』と、ぐんさんはまりあの肩を抱いた。

時々このポーズは儀式のようにする。

苦しい時や悲しい時に助け合って大人になったメンバー。仕事がいつも順調じゃない時には離れていても信頼しいる。

『乗り切るね。心配させてごめんね。』と、誠意杯の気持ちを込めて私は呟いた。

『仕事は私たちでやっとくからね。おじいちゃんについててあげて。』と、まりあが言うと二人のメンバーはうなづく。

『ヤマトって、いったい何者だろうね。』と、よしきが話し出した。

『ぐんと言ってたんだよね。旅行者だから個人情報知られたくないだろうけど、何者なんだろ。』

『真央を狙ってんの?』

『もー!よしきは飛躍しすぎだよ。いつだって私を殺せたし、先ず免許証コピーさせないよ。他に犯人はいるはず!そして、何が起きたか?じいちゃんの意識が戻ったらわかるよ。』

『俺さ、おじいちゃんの罠の手伝いに行こうとしたらこの事件が起きただろ。一瞬の出来事なんだよね。』と、よしきは真面目な表情になった。

『私たちでもう一度時系列で整理しょう。ね!だから真央は病院へ!』と、まりあは私の肩をポンと叩いて抱きしめた。

そこへ二人の男性も覆い被さるように抱きしめる!

『暑い!苦しい!わかったから!』と、私は3人に元気をもらって笑顔になった。

『真央!大変!ヤマト君が亡くなった。今警察から連絡が入った。降りてきなさい!』と、階段の下から母が叫んだ!

事態は急変した。

四人が居間で刑事と話している。畑には続々と人が集まって検証をしている。パトカーが3台止まり、昨日とは様子が違う。

静かな田舎の風景が一変した。

都会に比べて田舎は野次馬が無く、警察関係者の人が増えて目立つ。

警察と刑事の団体と母が話している。

『真央!しっかりしなさい!』と、祖母が正気を失った私に喝を入れた。『真央、ほらみんなも座ってご飯食べなさい。先ず、コーヒー飲んでチョコでも食べて目を覚ましなさい。』

母はインドにいるだろう父に電話をしている。

『じいちゃんは安定してきたと、お医者様から電話が来たから大丈夫よ。』と、祖母が言ったのを聞いてみんなの顔に笑みが戻った。

『ばあちゃん、じいちゃん意識は戻ったの?警察の人にガードしてもらわなくても良いの?』

『真央は自分の心配をしてなさい。じいちゃんは警察の人が見張っとーから大丈夫。病院にいれば大丈夫!』と、祖母は安心するように優しく言って、テーブルに朝食を用意する。

『みんなコーヒー飲んだら食べよう!昨日あまり食べてなかったからお腹空いてきた。食べたら商品チェックしなきゃね。』と、私はいつもの業務のことを考える様にした。

『そだね!食べよう!』と、よしきは目の前のクロワッサンを皿に取った。

『いつものようにしょう!後から月ちゃんと早苗ちゃんが棚卸しの準備に来てくれるってメールきてた。』『仕事仕事!稼がなきゃね。俺は入金の方を見とく。』と、ぐんさんが白ごはんと味噌汁を食べながら!

ワイワイと話し出したら、側で見ている祖母は笑みが戻っていた。

『ばあちゃん!ワカメの味噌汁上手いね。』

私はあまやすの浜で取れるワカメが大好きで、今日は魚のすり身が入っていた。ばあちゃんの得意料理の一つ。父やじいちゃんの取ってきた魚ですり身も作る。

食卓に明るさが戻り事件の影響が消えた。食べてる時に笑顔が出る風景に幸せを感じる。

このことがどんなに尊いことか神様に感謝した。

祖母が大事にしていることがわかった。平凡な日常に感謝している祖母や祖父!神様に感謝を祈っている。このことなんだ!

いつも明るく笑顔でご飯をいただくように躾けられたことがわかった。

そして、心の中でヤマトの不幸が重くのしかかってる事を、何とかみんなの協力で解決する力が沸いてきた。

私に何か大変なことが近づいている。

『真央!おはよう。今朝ごはん?』

月ちゃんと早苗ちゃんがやって来た。

二人は待ち合わせをして計画を立て来た。

『当番でパトロールをしょう!って、みんなで決めてるよ。時間は教えないね。ここは疑って動かないと、誰が犯人かわからないから。』と、さなちゃんが声を顰めて話し出した。

『疑ってかかろう!』今度は月ちゃんが更に小声で呟く。目で合図をして確かめ合って、目の前の朝食を食べるメンバー。

『私も食べて良い!』と、早苗ちゃんは言うと椅子に座った。

『美味しい!このクロワッサン!お取り寄せのクロワッサン?』

『幸せを感じるね!』

みんなもうなづき笑った。

庭から母が戻り、子供たちの笑い声を聞いてホッと安堵する。

『今日の早苗ちゃんの洋服可愛い!どこの?』

『これ、去年のよ。去年は一回しか着る機会無くて!去年は難しくて、やっと今年着こなしてる。』

『捨てる前に一回着てみるもんよね!(笑)』と、私が言うとみんなが笑った。

『俺の?今日はどうよ!』と、よしきがシャツスタイルを自慢する。

みんなが一斉にgooサインをするとよしきはご満悦の表情で応える。

私はこの笑ってばかりのムードが帰ってきてホッとした。振り返ると母が笑顔で見つめた。

『奥さん!ちょっと良いですか!』と、刑事が玄関で大声で母を呼ぶ。

『ヤマトくんの結果がわかったの?』

『検査はまだ出ていないんですよ。もうしばらくかかるそうです。』

『犯人の手掛かりは分かりましたか?』

『今は死因がなんだったのか?おじいさまの意識が戻ったら助かるんですが。回復には向かっていると報告は病院から聞いています。』

私達はネットショップの仕事を再開することで日常を取り戻した。

『真央、おじさんは海外にはいつまでいるの?』と、月ちゃんがパソコン越しに聞いてきた。

『インドの打ち合わせが終わったら帰ってくると聞いている。』

よしきとぐんさんはパソコンでメールでチェックしている。

まりあは届いている商品を早苗ちゃんと一緒にチェックしている。

『俺の予測じゃ?プロの殺し屋だと、元ソ連のKGBや北朝鮮の工作員の方法に似ている気がする。音がなく、窒息でもなく・・・』と、突然にぐんさんが話し出した。

『休憩しよう!カフェオーレ飲もう!甘いものを探してくるね。』と、私は台所に移動した。

『ぐん!プロの殺し屋とか言うなよ。真央が不安になるから。』と、よしきは小声で話し出した。

『まだ、薬物の種類が判明してないから、わかってからだよ。俺たちは仕事をして、振り回されないような態度を見せよう。誰が敵かわからないからね。』と、ミステリー好きのよしきが頼もしく言う。

『お俺とぐんで始めるよ。警察がどこまで進んでるか?あとはビデオに映ってないのは何故か?四人と話してみるよ。今は四人が一番怪しい。真央を守るためにヤマトを殺したのか?』

『そうなのよね!おじさんに頼まれたんでしょ。あの人たちは四人プロで真央を守るためにいるんでしょ。』と、まりあも仕事の手を止め、話に加わってきた。

『でも、あの時四人は警察の人たちといたでしょ。』

『犯人は他に?』と、月ちゃんが強く低い声で言うと全員がうなづいた。

みんなの推理は他に誰か?謎の訪問者がいると考えていた。

私はみんなと違う推理をしていた。頭の中に入り込まれ常に煙のような気配ですっぽり包まれているような時間になる時がある。

それはまるで島全体が梅雨時濃霧にすっぽり覆われるような現象になる。その誰かは既に身近にいる。

つづく

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