盈進に死す !/第10章同窓会

第10章同窓会

私も、鬼岳で意気投合している外人三人の紳士な振る舞いに感心させられた。女性に気を遣うところがスマートすぎる。

友達はきっと紳士のエスコートに心を奪われたんだろう。レディーになって所作がいつもと違う。ちょっと笑えるけど、とても可愛い!お友達。

我が家について母は荷物を置くとたっぷりお湯が張るお風呂に入った。旅行から帰ると、一番にしたい事!母の幸せな時間。

台所を覗くと祖母は、お隣の玲子おばさんの容態が落ち着いたのか明るかった。

台所のテーブルで祖父もお隣の叔父さんと話し込んで楽しくしている。

そばで若者たちは食事のための用意を手伝い始めている。

祖母が取り仕切りテキパキと進み、祖母は満足げに食事を作る。

私は邪魔にならないようによしきと二人でビールとワイン持って縁側に行く事にした。

『ここはちょっとしたバールだね!』と、よしきはみんなの様子を縁側から見て話す。

『今日は同窓会みたい。』と、私は騒がしさにうなづく。

『マオは疲れてない?おばちゃんと久し振りでしょ。何となくだけど、大変な事になってない?詳しくは俺たち知らないけど何でも言って。力になるよ。腕っぷしはそこそこ。ぐんの方が強い。あいつは見かけに寄らず強いからさ!』と、よしきはビールを飲みながら、縁側から外の景色を見る。

車の騒音も無い静かな夜。お祭り騒ぎの我が家の声が響いてる。

『ありがとう!よしき!大好き!』と、私は何も詳しく聞いてこない事に感謝した。

『まお!俺のプロポーズ考えてくれたの!』と、よしきはいつものひょうきんさが際立ってきた。

『よしき!いつプロポーズしたのよ!もぉ!でも大好き。プロポーズいつでもしてね。その申し出受けるから。』と、ポンポンとキャッチボールを楽しむ。

『ほんと?いまする!』よしきは私の心配を消してくれる。

『もぉ!』そこに、渡辺がやってきた。

『お邪魔ですか?ちょっとお話が!』と、渡辺は真面目に冷静な表情で話し出す。

『邪魔じゃまぁー!タイミング悪いよ、プロポーズしていた所なんだから。』と、よしきはさらに戯ける。

『うそうそ!冗談だから。何か御用ですか?』私はビールの力でよしきのひょうきんを真似た。

『まおさんに話したいことが、お邪魔なら又後でも!』と、渡辺は執事のように礼儀正しく振る舞う。

『いいのよ、私達いつもこんな会話してるので、本気にしないで。父から連絡が来たの?』と、失礼にならないように正気を取り戻した。

『はい。心配はしないようにということでした。』と、ますます執事の振る舞い。

『僕がいたら話せないでしょ。向こうに行きますね。』よしきは酒には強いので素面を証明するまじな顔になる。

『まりあが元気なかったからそばに行ってね。』と、私はよしきに頼んだ。

『まおの事をあいつなりに心配してるんだよ。』

『うん。わかってる!頼むね。』

よしきが縁側から立ち去ると渡辺は話し出した。

『まおさんの周りのお友達は、みなさんまおさんを優しく守っていますよね。武器より強い見えない力を感じます。素晴らしい。』と、礼儀正しく話し出す。

『いつもそうなの!でも、いつも私に甘えてるけどね!』と、居間の騒々しい方向を見る。

『良い関係ですね。』渡辺は穏やかに話す。

『祖父や祖母も、父や母も。田舎では助け合って暮らしているの。魚が釣れたら分け合って、お芋の季節はお芋をいただいたり、その風景の中で私は育ったの。』と、自己紹介をした。

『羨ましい。』と、穏やかに話す渡辺の口調にマジックにかかっっているようになった。

『時々、記憶が蘇る時があるの。私の手を引いてるお兄さんの姿がいて、綺麗なお姉さんのひくピアノの所へ連れてってくれるの。そこで私はピアノを練習するの。でも、上手く弾けなくて。それに、椅子に座るのもやっとで、床に足がつかないから怖くて、ピアノに集中できなくて、半分泣いていたの。』

私の話すのを微笑んできいてくれる渡辺に気づいて、

『あ!ごめんなさい。滅多にお兄さんのような目上の人と話さないので、つい!』

『思い出したんですね。そのお兄さんに似てるのかな?』優しく微笑む渡辺に、ハッと!!!恥ずかしくなった。

『多分近所に住むお兄さんだったのかも。本当に行くのが嫌だった。そんな嫌がる私を連れてってくれるお兄さんで!こう手を引っ張ってくれて!(笑)』と、誤魔化した。

『そこを思い出すんですね。』と、渡辺は手を引っ張る真似をしてくれる。

『母が言うには2歳か3歳の頃から習い始めて、楽しく習いに行っていたと言うの!おかしいでしょ!母の記憶はあてにならないのよ。』と、酔いが回り饒舌になる私がいる。

『(笑)今もピアノは弾くですか?』

『全く弾かないのよ。こんなに思い出して話すことも無いの!それに思い出そうとすると霧がかかるような。』と、急にボーッとなった。

『大丈夫?気分が悪くなったりしてないですか?』と、慌てて渡辺は顔を覗き込んだ。

『母に聞いてるの?大丈夫です。もう平気です。私達も向こうに行きましょう。あ!今日は私の友達と仲良くしていただいてありがとうございます。みんな喜んでましたよ。渡辺さんは?バツイチとかじゃ無いですよね。愛妻家ですか?』と、気になっている事を単刀直入に尋ねた。

『バツイチです。おじさんですが、目下募集中です。答えになっていますか?』と、渡辺も笑いながら答えてくれた。

『じゃあ!向こうで飲みましょう!』私は、遠い記憶が蘇り始めた。悟られないように笑って居間へ動いた。頭の中で防御本能が動いて、誰が味方で誰が敵かわからないと悟られないようにいつもの能天気な表情を作った。

居間では食事を楽しく食べながら話が弾んでいる。特によしきははしゃいで、そばでマリアが笑い転げてる。ぐんさんが私に気付いて手招く。

五島の友達はネットショップメンバー3人は打ち解けていて、よく我が家で食事会をしている。

洋服が入荷していると試着して気にいると購入する。

勿論ファミリー価格での購入。

私の五島の男の友達もよしきとぐんさんとは気が合い、魚釣りに行ったり、神戸に遊びに行く時は家に宿泊させるほどの交流がある。

二人は連絡して、あきと勇と俵太がやってきた。それぞれイカとクロダイ、レタスをダンボール一杯。

祖母は喜びながら、冷たいビールと氷を渡す。

『ほら!3人の男前!帰り仏様におさなえ用にリンゴを持って帰りなさいね。よしきくんの親元から送ってきて美味しいのよ。』と、孫同然の男子3人に優しい顔を向ける。

祖母は3人のご先祖や親を知ってるので仏様のことを考えてあげる。

お供え用に菊を育て、よく友達にお土産にあげる。祖母らしい考えで買うと高いから、珍しい菊を育てお裾分けしたり、切り花で育てやすい花を育て、家に生花をいける趣味を持つ。

近所の人や知り合いは祖母の気性を知って頼りにして相談の為お茶をしに来る。

祖母はそれを楽しみにして半ば生き甲斐に!一緒にテレビを見たり、世間話をしながら悩みを聞いて、解決策がないときは笑って吹き飛ばすように心を通い合う。

そして、帰りには仏様に!と、何か見つけてお裾分け。祖母には人が集まる。

3人の男子は小さい頃から可愛がる祖母を親戚のように慕う。道で出会うと挨拶をすることに恥ずかしさもあり、嬉しくもあり。

『大きくなったね!』と、必ず祖母は毎回言うので恥ずかしいと照れながら説明するけど喜んでいる。

孫同然の3人はまず祖母と話してから居間へ行く。

半分出来上がっているテーブルへ近づくと、さなえちゃんが先ず気が付き!『ほら!こっち!』と、手を振る。

『今仕事が終わった?』と、月ちゃん。

『紹介する!五島のイケメン3人です!』と、よっちゃん。

『何飲む?』と、ゆうこ。

そこに母がやってきて『みんな揃ったみたいね。食べてる?』と、外人さんの席に座る。我が家の同窓会が始まった。

続きを読む: 盈進に死す !/第10章同窓会

コメントを残す

ゴシップ人生霞を食べて荒波航海日誌をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む